つるまうかく

群馬在住ヲタクのネット書斎

汚れっちまった悲しみの色をぼくは知りたかった

先日、D4DJのライブが無料で生配信されていたので見たのですが、その時からやけに耳に残っている曲があります。
Lyrical Lilyというユニットの「汚れっちまった悲しみの色」というオリジナル曲です。
(マジもんの「D4DJの曲だ!」というやつですね)

一世風靡セピアだろ!(「汚れっちまった悲しみに…」)』というありがたいツッコミもいただきましたが、このLyrical Lilyというユニットは、往年の文豪をモチーフにした曲が多いということで、モチーフは中原中也のようです(「汚れつちまつた悲しみに」)。
とはいえ、私も中原中也は、宗田理の「ぼくらシリーズ」で少し出てきたような気がする、くらいの覚えで、そこまで深く知っているわけではありませんが。

なかなかいいフリー音源がないので、まずはこちらの8:28からお聞きください。

youtu.be

ふつうの音源だと、そこまでのインパクトは正直ありません。
「卓越したボーカルの歌唱力!」というタイプの曲でもなく、どちらかというとキャッチーでメロディアスな曲だというのはなんとなくわかるかと思います。

ですが、私はこれを初めて聞いたの、ライブ映像なんですよ。
この『D4DJ』というのは、DJやクラブミュージックをフィーチャーした、音楽に乗ろうぜ!的な、ある意味ディスコ的な体系なんですね。
それがドンピシャだった。

この曲、メインの技法として、リフレイン、つまり歌詞の繰り返しを多用しています。
具体的には『汚れっちまった悲しみ』から始まるリリックが、何度も繰り返されます。
つごう9回登場します。
もちろん、最後のセリフ部分を除けば、オクターブが上がったりはしますがメロディも同じ。
このメロディで、サビを疾走感たっぷりに畳みかける。

その魔法にしてやられて、耳にずっと残っていました。

そのメロディラインがどうしても忘れられなくて、歌詞をしっかり見てみました。
そこにあったのは、一つの叙情詩だった。

明確に何かを歌っているわけではないんですけれども、中原中也の詩「汚れつちまった悲しみに」を土台に、清さと汚れを、”雪”という自然現象で行ったり来たりして悩んでいるさまが、見事に織り込まれていました。

ちなみに、雪は送り仮名に「ぐ」をつけると、「すすぐ」とか「そそぐ」といった意味になったりしますので、本当にこのテーマにぴったりです。

私はこの詩を深読みして、現実と理想の狭間で揺れ動く”アイドル”という存在が裏テーマなのかな、と思ったりもしました。

 

というわけで、未だ飽きずに耳に残り続ける 「汚れっちまった悲しみの色」。
このLyrical Lilyというユニットは、他にも文豪をモチーフにした曲を持っていたり、先日の地上波で放映されたカラオケ大会っぽい番組(D4DJプレゼンツ!)でも、嶋大輔の「男の勲章」をカバーしたりと、なかなか面白いユニットなので、個人的に注目していたりします。

 

【関連】

(「汚れつちまった悲しみに」はページの真ん中あたりです)

 

www.aozora.gr.jp

 

  • D4DJで松山ダリアを演じる根岸愛さんによるゲームD4DJでのプレイ動画

www.youtube.com