つるまうかく

群馬在住ヲタクのネット書斎

評判の悪い人から言われた、大切なこと

私が新社会人として働きはじめたまさに初日のこと。
しかも、まだ何も説明を受けていない、勤務開始30分も間もないくらいの出来事でした。

たまたま、私の部署に来ていた、他の部署のえらそうな人が、まだ緊張していて椅子にカキコチに固まって鎮座していた私に、こんな言葉をかけました。

 

『見たところ、キミは何かでかいことをできるタイプじゃないだろう。
だから、一人でやろうとせず、真面目に目の前のできることをやって地道に頑張れ』

 

この言葉を言った人は、とても評判が悪い人でした。
仕事もそうですし、人格的な面でも『褒められたもんじゃない』『ろくでもない』的な話も耳にしたりしました。 
そりゃそうですよね、入ってきた新人に、いきなり上から目線でこんなことを言うんですから。
距離を測ろうとか、大事に扱おうとかいう感覚がまるでない。
親分肌というか、ぶっきらぼうというか、そういう感じ。

 

当時、何でもやって成果を出してやろうという、いわゆる”意識高い系”の気を、今の数万倍くらい持ち合わせていた私。
「なにくそ」とはきっと思ったはずです。

 ただ、自分の中で、すとんと落ちた部分も、きっとあったんですよね。
だから、今でもこうして、言われたことを覚えている。

 

この人に、私は結局深くかかわることはありませんでした。

それから十年と少し。
いろいろなものをぶつかりながら、少しずつ角が取れてきた私ですが、何かでかいことを成し遂げることはありませんでした
むしろ、どちらかというと調整役のような、裏方の裏方として動くような、そんなお仕事をいただくことが増えてきています。

それを考えると、この人は、人の素質を見る目があったのかもしれないなと。
言葉はぶっきらぼうでしたが、その言葉は長く働いていくうえでとても大事な考え方。
そんなことを言ったら、嫌われることだって少なくないはずです。
それを言ってのける、ある種のお人よしさ。

この人は、ある側面では評判は悪かったけれども、いい面も持っていたんじゃないか、と今は思います。

 

私の器は、きっと小さい。
だから、多くの人に手伝ってもらわなければ、何かを成すことはできません。
そのためには、とにかく地道に積み重ねること。
謙虚に邁進すること。
ややもすると気が大きくなってしまう性分ですから、そこを押さえるのは一苦労ですが。
大切なことを忘れずに、ある意味この文章も自らの枷として活用しながら。
焦らずに、一歩一歩、歩みを進めていければいいな、と思います。