つるまうかく

群馬在住ヲタクのネット書斎

武道館より熱をこめて ~TrySail 10周年出航ライブ “FlagShip” in ⽇本武道館~

TrySail、武道館ライブやります!」
その情報は、あまりにもさらっと発表されました。
”苦節10年、念願の武道館です!”でも、”活動の集大成です!”でもなく。

『武道館なんだからもっと宣伝したほうがいいのでは?』とか、『この感じで会場埋まる?』とか、要らん心配をしてしまいたくなるくらいのナチュラルさで。

運営側はとにかく、
「ライブやるのでみんな来てね」
という、本当にいつもの感じのスタンスでした。

 

今回も、友人がご丁寧に両日のチケットを用意してくれました。
今では”はなれない距離”にいるため、ライブが2Daysあった場合でも両日行ったりはしないのですが。
それでも『両日いくかー』となったのは、まさにこの
武道館
という存在が、ある種の重みを持っていたのだなあと感じます。

 

"武道館"という箱、ステージと客席が近く感じるんですよね。
座席は狭かったり、上の方にいくと傾斜がきつかったり、そもそも武道の会場ですからライブになじまないところもあるんですけども。
武道館で熱量あるライブが生まれるのは、その手づくり感、アットホームさにもあるのかもしれません。
武道館で開催された思い入れのあるライブが、いくつもあります。

私はTrySailでいうと、青色担当です。
あまり明言することはなくなりましたが、それはそれでいいかなと思っていて。
今回も、青色のライトは切らさずに、2日間を駆け抜けました。

不思議なもので、これといった予習はしていかなかったのですが、コールと振りは勝手にできてました。
振りもしっかり、担当の手を上げるところもナチュラルでできていて、びっくりすることに歌割りも頭の中に入っていて、ペンライトが勝手に動いた。
いや、動かしたのは私の手なのですが。
頭を空っぽにしてでも、今でもしっかり青き民でした。

過剰な重しを背負うようなそぶりもなく、雨宮天らしい雨宮天でステージを駆け回っていたので、とてもホッとしました。

たまに帰ってくるので、これからもそのスタイルで駆け抜けてください、ありがとう。


1日目に持っていかれたのは、ナンちゃんでした。
武道館で、「パレイド」を歌うとは思わなかった。

みんな知っているし、本人ももがいてきたことを明かしている。
順風満帆だけの10年ではなかったでしょう。

きっと、彼女こそ、苦節10年。

万感こもった、パレイド。

パレイドのイントロが流れてきて、最上段の4階から登場したときの、どよめき。
「ここまで歩いてきた」と言わんばかりの、圧巻の歌唱。

みんなを救える、きれいごとじゃないパレイドでした。

 

2日目、もちょでした。
イントロが流れてきて、崩れ落ちる会場。
口々に飛び出す「嘘でしょ…」という叫び。

”花に赤い糸”

『ここでこの曲持ってくるんだ』という驚きと、それ以上の納得感。
本人が思い入れがあるであろう曲の一つだと、多くのファンがわかっている。
だから、頭の中で曲が繋がりかけた曲の冒頭で、私は泣いてしまいました。

麻倉もも」という歌手の"よさ"を詰め込んだ世界観。

この武道館ライブで、3人とも、本音もまじえて、ここまでの10年間を振り返っての話をしました。
その中で、一番その話題に向き合って話していたのは、もちょだった気がします。
ふだんはそんなことを喋らず、おいしいもの話をしているのに。
それだけ、この公演に重みを感じていたんだと思います。

だから、彼女だけが泣かずに一番気丈にふるまっていた。

武道館を暖色一色に染め上げる光景は、彼女にとっても、まさに結実した10年だったと言えると思います。

 

本当に、様々な思いを抱えた10年だったと思います。
既に上で書いていますが、MCで触れられるエピソードには本当に思いがこもっていて。

トラセといえども、順風満帆ではなかった。
トラセだからこそ、色々あった。
そして、ここまで来た。
そんな10年だったと感じます。

私は2019年からのファンで、そのときは『新参者』と言っていたのですが、そこから6年が経ってしまい。下手すると古参にもなってしまう。
そんな月日の流れも、しみじみと感じて。

 

TrySailは、声優ユニットとしてはどの要素も高水準でまとまっていて、総合力が極めて高いアーティストです。
その印象は、2019年からほぼ変わっていません。
ただ、それは見方を変えると、”バカみたいに突き抜けた偏りが少ない”ということでもあり、”そつなくこなしている”という見方も、あったのかもしれません。

でも、今のトラセは、そこより二歩も三歩も進んでいると感じます。
それぞれのソロ活動で、TrySailではない”個人の売り”を磨いてきた。
10年のうちの後ろ半分は、まさにその時期でした。

天ちゃんがセルフプロデュースで作詞作曲をするとは思わなかった。
ナンちゃんがラウドロックに傾倒していくとは思わなかった。
もちょが家入レオと対バンするとは思わなかった。

それぞれのソロ活動で、そちらでも大きなひかるカケラを掴んで。
そして、トラセに戻ってきた。
今回の武道館では、ソロ活動での魅力も随所に見ることができました。


今回、3人が参加している人の健康面を心配して、いわゆる”ママ”的に振る舞ったりするコミカルな場面があり、少し”スフィア感”のようなものを、すこし感じました。
それは、熱心なコアファンを生み出すのとは、少し別ですけれど。
トラセには、これからはそういったファンが増えていきそうだなと感じましたし、スフィアのように末永く活動が続いていって、

「ただいま、おかえりを言える場所」(夏川椎菜

であり続けてほしいと思いました。

 

「武道館は10周年の出航ライブ」だと、3人は言います。
それが武道館を特別なライブだとして煽らなかった、TrySailのスタイル。

勢いよくSail Out(出航)するその瞬間に立ち会い、旗を振れたことを光栄に思いながら。
乗組員(エンジン?)として、これからも、はなれない距離で応援を続けていきたいと、そう思います。

 

 

何度も
超えて行けるから 境界線 雲かき分け 手を伸ばした
涙は今 浮かぶ空に預けて 走り出すの
並んで 見つけた 輝く光を手に
わくわくしている 今が一番大好き

Trysailadrenaline!!!」)