つるまうかく

群馬在住ヲタクのネット書斎

スタジオライブを通して見えた、雨宮天の"Next-Dimension(新世界)"

 

 「LAWSON presents 雨宮天ライブ2020 "Paint it, SKY" Online Live」をアーカイブで視聴しました。

 

正直なことを書きますと、前半は、どことなくもやもやした気持ちを抱えながら見ていました。

コロナ禍になった後、天ちゃんは、ブログ「天模様」Twitter企画「そらのはるやすみ」、最近では「雨宮天公式YouTubeチャンネル」、そしてその中での初の生配信と、ファン(”青き民”)のことをおもんばかった行動を取ってくれていました。
そして、先日2回にわたって行われたTrySailの配信ライブでも、ファンの理想を詰め込んだような、トラセ三人の魅力がこれまでかと詰め込まれたような配信をやってくれていました。
無意識にファンサ的な要素を求めていたのは、それがあったからなのかもしれません。

甘かった。
いや・・・・・・青かった

天ちゃんの歌は万全でしたし、バンドの演奏も十分。
ただ、なんだか思っていたのとは違う。
メインが”雨宮天”というアーティストのはずなのに、バンドメンバーが映る時間がやけに長い。
もちろんバンド構成ですから、メンバーさんはガンガン映っていいんですけど、時間によっては天ちゃんよりも映している気がする。
本人がキュートさ全開で歌ってダンスするのでずっと映していてほしかった「PARADOX」も、長くはないけどちょくちょくバンドメンバーに切り替わる。
最近話題の”推しカメラ”(特定のキャストを映し続ける映像)がほしい。

そういったもやもやが重なっていったんです、これは正直な気持ち。

そして何曲か披露が終わり、プロデューサーの角田氏を迎え入れてのゲストトークが始まります。
様々な裏話が披露されるなかで、天ちゃんの角田氏がこんなことを言い始めるんですね。

「(天ちゃんは)完璧主義っぽく見えて、完璧主義の人って変化するのを嫌がるんだけど、現場で思いついたことにも柔軟に対応してくれる。
 完璧主義なようで、柔らかいようで。(一部省略)」

それを聞いた私の反応は次のとおりです。

「それ!」

天ちゃんって、完璧主義者で、その拘りが強すぎるというイメージ、あるかもしれません。
ご自身でも、拘り強いし気に入らないことがあると機嫌悪くなるし”プロの赤ちゃん”だと仰っている。
でも、違う。
追ってきた歴が浅い私が言っても説得力ないですけど、本当は違うんですよ。

MVの撮影のメイキング映像とかを見ると、ちゃんと指示を受けて、それを受け入れて演技を変えたりしている。
大事にするところは大事にするし、思ったこともビシッと言うけれど、作品をよりよくするための建設的な提案はしっかり受け入れる人なんです。

その本質を、角田氏がこともなげに言っていて、
『みんな天ちゃんのことをしっかり見て、考えて、意見を何度も何度も交換しながら、本気で向き合っているんだな』
とわかりました。
そこから見方がガラッと変わった。

天ちゃんと、天ちゃんバンドと、プロデューサーはじめ関わるスタッフ陣が、一つの音楽表現に向かって、個々の能力を存分に発揮している。
そこにはもちろん、しっかりとした信頼関係がある。
そこが言外の部分で見て取れて、私はそこに”嫉妬”していたんだと思います。

このライブは、アーティストSora Amamiyaと、天ちゃんバンドのライブだったんです。

”そういうライブ”だとわかってからは、本当に楽しめました。

 2回目のトークパートで、今度は天ちゃんバンドがスポットライトを浴びることになります。
個性がありながらも、天ちゃんの魅力を決して殺さない、絶妙なバランスが保たれた珠玉のメンバー。
あんまりこういう明言をすることはないんですけど、私は天ちゃんバンド、全体的に好きです。
MCの時に飛び出したドラムの「わたちょ」こと田中航さんの、

『初めて天ちゃんの曲を聞いたのが「PARADOX」で、「こういう人なのね」と思っていたら他の曲を聞いて「ええええええっ?!」となった』

という、”PARADOXのパラドックスの話も面白かった。

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なお、この「わたちょ」は、「Queen no' cry」で若さを遺憾なく発揮した力強いドラムを披露することになります。(※年齢的に天ちゃんの一コ下)

「火花」も、アルバムを含めても正直今回のスタジオライブがベストアクトだと言えるくらい、更に化けていました。
今回のスタジオライブは、火花のさらなる昇華のためにあったんじゃないか、と思えるくらい。
元々、1月のライブ以降は火花のレコーディングに向けて一致団結していたそうなので、更にそう感じました。

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「奏(かなで)」(スキマスイッチのカバー)をやっているときの天ちゃんは、これまた本当に神々しくて。
奏は本家スキマスイッチの曲も含めて結構聞いているはずだったんですけど、今回本当に丁寧に弾き語ってくれて。
「ああ、こういう内容の曲だったんだ」と、初めて気づきました。
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弾き語り後、天ちゃんバンドが天ちゃんを温かく拍手で迎えている光景を見て、泣きそうになったり。

そして最後の感謝のMCの後に「Song for」。
反則。
そして最後は「Queen no' cry」。
これも演奏されてはじめて”こんなにR&Bだったのか”と気づかされました。
前述のとおり、ここでのわたちょのドラムさばきがすごい好き。

 

といった感じで、本当にジェットコースターのように感情が揺り動かされたスタジオライブでした。

 

ここからは、個人的な考察になるんですけれども。

天ちゃんは、ファンに対してものすごく優しくて、下手すればファンサがすごいと言われている声優さんよりもよっぽどなんじゃないかと思える瞬間があったりもするんですよね。
だから勘違いしてしまいそうになることもあって。
ただ、『自分はアイドル声優ではない』ということも、おそらく一貫して言い続けています。
その距離感については、アルバム収録曲「Next Dimension」の歌詞にも表れていて。

(以下3文、全て「Next Dimension」から引用)

大事なもの 多くないから
片手はほら、いつも空けておくから
大丈夫 崖から落ちそうな時は差し出せる
君に僕の”片手(て)”を

僕は僕になる。
僕の夢は僕以外見られない
誰にも任せられない

君は君になれ
君の夢は君以外見られない 
僕にも ああ、見られない

どうしようもなくなったら助けてくれるんです、天ちゃんは。
ただ、なりふり構わずに助けに来てくれるわけじゃない。片手だけ。
この世界にはつなぎ止めてくれるけど、それ以上はできない。
無償の愛ではないんです。

そして、天ちゃんは青き民にはなれないし、青き民も天ちゃんにはなれない。

でもね、それでいいと、自分は思うんですよ。
天ちゃんに限らず、聞いている人を救う歌というのは沢山ありますが、その詞を紐解いていくと、「応援はするけど、自分自身が一歩を踏み出さないと始まらない」という曲がけっこうあったりします。
何でもかんでも、頼りすぎてはいけないんだろうな、と思います。

 Next Dimensionは、直訳すると「次の次元」。
歌詞中から引用すると『新世界』。
今のスタンスは、天ちゃんが一貫して主張してきたスタンスのはずだし、新たに、ということではないはずなんですけれども。
この「Next Dimension」という曲で、新たに自分と青き民の立ち位置を歌ったんじゃないかな、と思います。

だから、天ちゃんが更なる高みに上り詰めるのを応援して、その中で逆に青い元気をもらって。
ファンである青き民も自分の道で頑張れ、ってことなんじゃないかと、私はそう受け取りました。

 

P.S.

先日1期の最終回を迎えたアニメ「彼女、お借りします」の挿入歌になった「君を通して」も、その詞を紐解いてみると、とても興味深い曲になっております。

もう少し、少しだけ、青き民として応援させてもらえたらうれしいです。

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