つるまうかく

群馬在住ヲタクのネット書斎

「中の人」人気とアニメーションへ溶け込むという概念

「声優ファンはアニメを見ない」
ウソのようなほんとうの話で、その状態に陥っている人は少なくないようです。
『作品やコンテンツ重視』だと言ってる私も、1クール(3か月)でアニメを5本くらいしか見ていないこともあり、人のことを言えたもんじゃありません。

これは、”声優”と呼ばれる存在が人気になったことの証左でもあって。
声優のイメージが「アニメ声優」「アニメやゲーム、映画に声を当てる裏方の人」だったのが、音楽活動、ラジオ、モデル、インフルエンス、アンバサダー的なタレント活動など、個人を全面に出しての活躍の幅が横にずずいっと広がった感じがします。
最近は、ドラマやCM、バラエティなど、テレビの中で声優さんご本人の姿を見かけることもだいぶ増えています。

本来、声優は「キャスト」、役者に含まれる存在で、ファンの人数が多い少ないにかかわらず『この作品をやるからこの役はこの人にやってもらおう』という形でキャスティングされるはずなんです。
最近は”中の人”がクローズアップされる世の中にもなってきていて、それで個人活動が成立してきているんだなあと感じます。

 

声優さんがアニメーションに命を吹き込むスタイルとして、「唯一無二の声」を武器にすることもあるでしょうし、「芸達者さで作品の必要なところに溶け込む」スタイルもあると思います。
唯一無二の人は、本当にその声一つで食べていける人ですよね。
それも、ただ同じパフォーマンスではなく、パワーの出し方を調整したり、思いをしっかり込めたりすることで、『あ、この声は!』となるのに、作品の味を深くしている。
一つの声を極めたからこそ為せる技だと思います。

ただ、唯一無二タイプだけで作品は作れないので、溶け込むタイプの人も必要で。
『最近の声優さんはレベルが高い』と言われますが、溶け込めないと現場に割って入っていけないという部分もあるんだろうなと思います。
それはときに、個性を抑えることになったり、消さなければいけなかったりする。
でも、それをやってのけるのは「まさにプロだから」だと思います。

 

冒頭に書いた「声優ファンはアニメを見ない」は、別にファンが緩慢なわけではなく。
個性を追い求めるファン心情と、個性を薄めたりする必要がある部分が、噛み合いづらいんじゃないか、と思ったりもします。
だから、個人活動のほうにフォーカスが当たりやすかったりする。

そして、そこを重視して応援することも、ひとつありのスタイルだと思います。
ただし、本人がアニメに溶け込む存在を目指している場合もあるので、そのあたりは意識しながら応援できると、齟齬が生まれづらくなりますし、いいかもしれませんね。

 

「声優」というくくりが「タレント」に近いくらい幅広くなっている昨今。
声優が「アニメに声を当てること」に留まらない活躍を見せているなかで、その人個人にスポットライトを当てて応援できるということは、よく考えたらとても素敵なことだと思います。

ただ、個人にスポットを当てすぎて、大事な夢とか目標を否定したりすることのないように。
自分自身にも言えることですけどね。
ちゃんとキャッチボールをしながら、ファン活動なるものをしていくことが大事だなあと、改めて思う今日この頃です。