つるまうかく

群馬在住ヲタクのネット書斎

『雨宮天』という挑み続ける蒼く眩い光

雨宮天

もちろん、その存在は知っていました。
TrySailの歌を聞いたこともありましたし、なんならソロ歌唱も一曲だけ生で聞いたことがあって、うっすらと「トラセなら天さん担当かなあ」という認識はありました。

ただ、好きな声優さんがたくさんいる私にとっては、数多の声優さんの中の一人。
敢えて定義するなら、『プラスティック・メモリーズ』のアイラの人。

一年ほど前の私にとっての雨宮天さんの認識は、こういった感じでした。


言わずと知れた、大人気声優ユニットTrySail』のメンバー。
個人の人気から見てもトップスター。
その姿勢は、クールかつストイックで。
その存在は、高くて、遠くて。

私が応援することは、おこがましいとさえ思っていました。


それがガラガラと音をたてて崩れ始めたのは、去年の3月のTrySailの3rdライブツアーの群馬公演のことです。

私の地元は群馬県という、関東で最も北に位置する県になります。
群馬に海はありません。
そんな海のない群馬に、大人気ユニットであるところのTrySailが来てくれる。
アーティストとして追っていたわけではないものの、「adrenaline!!!」や「コバルト」、「オリジナル。」など好きな曲もあったので、行けるなら行きたいな、でも駄目だろうなと思いながら、”ローソン先行”に申し込みました。
・・・そう、当時はFCに入っていなかったんです。だから二次先行。

かなり狭き門という話は聞いていたのですが、運良く、奇跡的に当選して。
私はトラセの群馬公演を、会場の最後列から見守ることになります。

 

その、本公演。

びっくりするほど楽しかった。

最後列にいたのに、最前で楽しんでいるかのような、とんでもない盛り上がりでした。

麻倉もも雨宮天夏川椎菜
正直、全員が全員、十分すぎるほどソロでやっていける実力を備えながら、その個性が、強大な三色の光が、時にはぶつかりあい、時には調和しあって、ひとつの音楽を紡ぎあげていく。

数々の声優コンテンツのライブに参加してきた私ですが、この日こう思いました。

TrySailは、昨今の声優ユニットで随一の完成度じゃないか』と。

それだけ、完成されたライブだったんです。

ここで”トラセ熱”にあてられた私は、すぐにファンクラブ「TrySail Portal Square」に加入して、ツアーファイナルの幕張追加公演最終日に参加することになります。

そしてこの日知ったのが、トラセ3人の仲の良さと関係性の尊さ、雨宮天その人の魅力でした。

「トラセ関係性オタク」なる言葉も生まれているように、トラセの三人はとても仲がいいです。
キャスト同士が仲がいいというのは、TrySail以外にも沢山いますし、それが今のスタンダードなのかもしれません。
ただ、それは決してうわべではではなく、まるで学校の友達と周りの目を気にせずに駄弁っているかのような様子がとても絶妙で、愛おしくて。
その様子を客席という端から見ているのが、とても心地よかったんですよね。

そして、天ちゃんの印象がガラッと変わったのもこのときでした。
クールビューティーだと思っていた雨宮天さんが、

まるで子どもみたいに、全身を使って大きく、大きすぎるくらい、客席に向かって手を振ってくれたんです。
ビックリするくらい、屈託のない、満面の笑顔で。
トラセファンならよく見かける、あのダイナミックな手振りです。

今思えば、それが私が雨宮天さんに『陥落』した瞬間でした。

 

去年の8月は、その熱が増幅した一ヶ月でした。
幕張追加公演最終日のダブルアンコールの「WANTED GIRL」でブチ上がり、
天ちゃんが昭和歌謡を熱唱するということで「音楽で彩るリサイタル」に駆けつけ、
トラセが出るからという理由でアニサマに初めて参加したり…

でも、ここまでは、ライブでは青をメインで振りながらも、3人全員を応援する「トラセ民」といった意識が非常に強かったです。

 

そんな遍歴を辿ってきたわけですが、ここでぶっちゃけます。

実は私、この時点で、天ちゃんのソロ曲を、全く聞いていませんでした。

天ちゃんの音楽の系統は、カッコいい系やクール系。
天ちゃんのことは好きにもかかわらず、その音楽性が好きになれるかが不安で、その世界を知ってしまうのが怖くて、足を踏み出せずにいたんです。

逆に当時、ナンスの「パレイド」がぶっ刺さった私は、ログラインばかり聞いていました。

だから実は、先日の天ちゃん幕張ライブに行くつもりはなかったんです。
 

 

潮目が変わり始めたのは、「Regeneration」が発表された頃でした。

そうはいってもライブがあるということで、天ちゃんの新譜は気になりました。
ロックテイストでありながら、とてもメロディアスな一曲に仕上がっていたRegenerationが、自分の中で「アリ」と、刺さったんですね。
「ライブでこの曲をやるなら盛り上がるだろうし、行ってもいいな」と思い始めました。

そして、極めつけは、“ファンが本当に欲しかった曲”こと、ポップ&キュートの極振り曲、『PARADOX』。
この曲を最初に聞いたとき、たしかリケ恋のCMだったと思いますが、耳を疑いましたからね。
え、これ天ちゃんなの?と。

リケ恋のイベントで、初めてPARADOXを披露した時の衝撃は、今でも文字に起こすことができません。

この時のことを、私はよく『雨宮天さんがエリイちゃん(山崎エリイ)をやってる』と表現するのですが、”可愛さの暴力”とも形容されるほど可愛らしい振る舞いに定評のある山崎エリイさんと、同じくらいの可愛らしさ(=キュート極振り)を、あの日の天ちゃんは、見事に表現したんです。
これは、暦が浅い私でも度肝を抜かれてとんでもない幸せに感じました。

PARADOXは、リケ恋という、クールの壁を纏いながらもめちゃくちゃ可愛らしい物語が展開される作品で、その世界観に合わせて産み出されたのがこのキュート極振りの一曲。
作品性に合わせて自らを研ぎ澄ませていく『雨宮天の本気』をここに見ました。

 

それから。
天ちゃんのソロ曲をすべて聞きました。
もし合わなかったらどうしよう、という思いもありましたが、

取り越し苦労でした。

どれもこれもいい曲で、聞き始めてからというもの、ずっと聞いていました。
苦手な曲が一曲くらいあっても不思議ではないのですが、びっくりすることに一曲もなかった。
全部の曲をエンドレスリピートして聞いていました。

実際に曲を聞いてみて、一つ気付いたことがありました。

「天ちゃんって、クール系以外の曲も相当歌ってない?」と。


確かに、かっこいい系の曲は多いです。
でも、聞いていて元気をもらえるアップテンポなビタミン系ポップも、結構ある。
ムーディーな曲や、しっとり歌い上げる曲も。
そして、PARADOXまではいかないものの、キュートに少し寄った曲もありました。
雨宮天というブランドの中で、挑戦を続けていたんだと思います。

特に気に入ったのは「チョ・イ・ス」。
とにかく明るくて、優しくて、背中を押してくれるビタミン系ポップに魅了されました。
とても人気な曲だというのを知ったのは後でしたが、それも頷けます。

 

こうして私は無事、幕張2Daysに参加することになります。

 

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先に素直な感想を書いてしまうと、最高でした。
最高としか言いようがありません。
だって、2日たった今でも、ライブが終わった感覚がまったくないんです。
曲の詞だけではなく、音楽が、あの時の光景が、”The Clearest SKY”が蘇るんです。

 

しっかり書いていくと何時間たっても終わらないので、セクションごとに書いていきます。

【1】Start-up
  • Defiance ~ Eternal ~ チョ・イ・ス ~ Regeneration ~ irodori ~ Abyss

開幕「Defiance」といういきなり『強い』セトリ。
そして
「チョ・イ・ス!?こんな序盤で?!
という、あまりにも早すぎる「チョ・イ・ス」。
野球で言えば2番に松井(今でいうと筒香)が座っているようなもの。
強すぎるわけですが、バンドサウンドに後押しされた「チョ・イ・ス」はとにかく強くて、楽しかったです。振りも楽しみました。
そして勢いのあるところでリジェネ、そして最後の『密やかなブルー』でペンライトを青に変えるのが一体感あるジャズテイストな「irodori」と続き、天ちゃんが全身エネルギーをたぎらせて歌う「Abyss」序盤を締めくくりました。

【2】Recital & Dark-gothic
  • 月灯り ~ 誓い ~(語り)~ メリーゴーランド ~ 羽根輪舞 ~ VIPER

今回、一番の特異点だったセクション。
歌だけを印象付けて聴かせる「月灯り」。
客席のペンライトが消えていくのは、とてもよかった。
そして圧倒的な演出、圧倒的に感情を持っていった「誓い」。
色んなことを考えさせられながら、ジーンときてしまいました。
そして、会場をおどろおどろしいダークな雰囲気と、『黒ドレスに玉座に手枷に目隠し』という誰の想像をも裏切るような耽美で蠱惑的な世界観に浸りながら闇の中で歌った「メリーゴーランド」へと続きます。
その雰囲気そのままにムーディーな「羽根輪舞」へとつながり、最後は何もかもを蝕む「VIPER」へ。
とても巧みに構成されたダークゴシックでした。

【3】Trying & Calling
  • 火花 ~ RAINBOW ~ Lilas ~ PARADOX

本人初の作詞曲である「火花」のフル初披露。
初日は、初のバンド合わせと、ファンも初見ということで、少し探りながらの所もあったのかなと思いましたが、2日目にはきっちりそこを仕上げてきていました。
そして、盛り上がれる大人気曲でもある「RAINBOW」と「Lilas」。
天ちゃんの曲でもこの2曲は明るい曲で、心から楽しんで振りコピをしたりコールをしたりしました。
このセクションの最後は今回のキラーチューン、「PARADOX」。
1日目のPARADOXは、ここまであんなに統率の取れていたファンが、あまりの破壊力に統率が取れなくなるという様子がペンライトの振り方ひとつでもよくわかって楽しかったです。
2日目は、センターステージで歌う天ちゃんを遠いものの前方から見ることができる位置だったので、眼福でした。

【4】High-Tension!
  • Velvet Rays ~ (Day1) Marvelous scene/(Day2) Silent Sword ~ (Day1) Breaking the dark/(Day2) Trust Your Mind ~ VESTIGE

天ちゃんからの「まだまだ元気残ってるよね?」からの、怒涛の強い曲連打。
最後の「VESTIGE」なんかはもうテッパン曲なので取り立てて書くことはしませんが、2日目に「Silent Sword」のイントロが演奏された瞬間の盛り上がりがすごかった。
サビの最後のひと伸びのSilent Swordが心地いいんだ、これが。

【5】Finale

空に届く。

天ちゃんの数ある曲のなかで、
雨宮天を象徴する曲」
は、やはりこの曲だと思います。
『走る衝動に任せて広がる世界へ』という詞が象徴するように。

【6】Encore
  • GLORIA ~ 一番星 ~ Song for

「GLORIA」の壮大さに、突っ伏しそうになるのをこらえてしっかり聞いた。
ファンと天ちゃんとをつなぐ大事な曲、「一番星」。
そしてファンに向けて『そのままだっていいんだよ』と励まし続ける「Song for」。
完璧なアンコールでした。
何度でも何度でもありがとう。

【7】Double Encore(Day2)


2日目のダブルアンコールでの天ちゃんの言葉。

「これが、皆さんが作ってきた雨宮天です!!!」

という、絶叫。

 

 

私が天ちゃんを認識した瞬間、彼女は既に頂点にいました。
志をしっかり持ち、誰にも媚びずに、自分のやりたい方向性をしっかり定めて進んでいく。
そんな孤高の存在でした。

だから、応援するなんておこがましい。
かえって迷惑になってしまうんじゃないか。
そう思っていました。

でも、ライブやイベントでその姿を見たり、ラジオや動画番組で普段を知ったりするなかで。
また、ブログという少し落ち着いて言葉を綴ることができる場での考えを見るたびに。
『そうじゃないんじゃないか』という感覚が強くなってきました。

彼女は、トップにいるけれども、けっして『どんなものでも努力せずに簡単にできてしまう人』では、ないんだと思います。

とにかくまっすぐで、真摯で。
常に最高の結果をイメージしながら突き進む、“26歳の等身大の女の子”なんだなって。

もちろん、天ちゃんは強いんです。それはそう。
でも、本人が言うように、小心者なのもわかる。
小心者だからこその『開き直ったときにとことん真っ直ぐ突き進める』というのは、天ちゃんの要素の一つを形作っているようにも思います。

そして、天ちゃんのパーソナルに迫った人なら分かる、ズボラで、やきもち焼きで、気分屋なところも、また可愛らしいんですよね。
それも彼女の大きな魅力の一つです。

今回のライブ全体を通して、天ちゃんは、ファンに感謝ばかり伝えてくれました。
「ありがとうって言いたいのはこっちのほうだよ!」と何度思ったことか。
「ありがとう!」と、何度も叫びました。

「私は小心者だから、何をするにも躊躇するけど、でも挑戦することはやめられない。みんながいてくれるから、応援してくれるから、私は挑戦し続けられます!」
という言葉が、まっすぐに心に届きました。

どれだけ、人気がある人であっても。
その応援は、決して無意味じゃない。
一人一人ができることは、少しかも知れないけれど、
その想いが集まったら、大きな力になる。

時にはたった一人で戦わなければならない人の、大きな力になることができる。

  

途中から自分語りになってしまいました。すいません。

”The Clearest SKY”は、本当に、今この文章を打ちながらも思い出して泣きそうになっているほど素晴らしいライブでした。
自分自身、その挑戦する姿勢にものすごくプラスの影響を受けています。
これからも天ちゃんは天ちゃんらしく前に突き進んでいってほしいですし、本当に愚直に真っ直ぐに進んでいく雨宮天というその人を、応援し続けていきたいと思いました。

 

雨宮天さんを大好きになってよかったです。
全ての思いを、「ありがとう」の五文字に込めて。