つるまうかく

群馬在住ヲタクのネット書斎

テレビというメディアの話

「テレビ」というメディアは、よく「オワコン(終わったコンテンツ)」と言われることがあります。
若い層が見なくなり、ネットにシフトしていったことから、2000年代に主にネット上で言われてきました。
特にホリエモン堀江貴文氏が出てきたあたりで「テレビとネットの融合」みたいなことが言われ、そのあたりから対立構造が生まれてきたような気がしています。

それから15年くらいが経った今、テレビは終わりかけているのでしょうか。

実は、現時点では終わっていません。
それどころか、体感的には、2000年代よりは生き残る兆候すらある気がします。

 

自分なんかの世代でも、テレビは持ってないという人も多いですし、影響なんか受けてないよって印象の人も多いと思います。
ただ、主観を取っ払って考えてみると、実はそうじゃなかったりする。

私たちが見ているアニメって、ネットだけで放送しているのってほんの一部で、大体はテレビで放送されているよね、と。
Twitterのトレンドに乗る話題って、テレビで放映されたり、ワイドショーなんかが取り上げてニュースが肥大化したものが多くないですか、と。
好きな声優さんがテレビの地上波に出る!となったとき、こぞって見ようと思ったりしませんかと。

私はテレビ推進派では決してないのですが、わりとテレビの影響力って、未だに大きいんです。
そこにはこんな、テレビとネットの関係性があります。

 

1990年代から2000年代中盤まで、インターネットは未開の地でした。
ある種の閉ざされた無法地帯であり、企業も少しはいましたが、個人が好き勝手にやって、好きなものを作って、好きなもので楽しんでいた、そんな時代です。
個人製作のとんでもないものが、ネット上には溢れていました。

 まだ、ネットというものの有益性が一般には知られておらず、企業も手を出しづらかった、そんな時代です。

 しかし、2000年代中盤から、少し風向きが変わり始めます。
ブログブーム、『電車男』、ホリエモン三木谷社長など、ネット文化がテレビなどの既存メディアに注目され始めます。
「これはお金になるぞ・・・?」と、企業がインターネットに気づいてしまったんですね。

そこから、インターネットから個人の創作的な要素が薄れていきます。
大資本を持った企業がネットに流れ込んできて、”プロの犯行”だった個人よりクオリティの高いものをバンバン打ち立てていったんです。

それと同時に、既存メディアの文化もネットに流れ込んできました。
YouTubeって、もちろん個人も自由に利用できるのですが、よくよく考えたら『テレビをインターネットに突っ込みました』というのが根底にあるコンテンツだったりします。
その類の流れが、いくつもありました。

ある時期から、テレビのほうでも、インターネットを盛んに宣伝するようになりました。
個人で判断することがますます加速していく時代。
テレビは、インターネットと戦うのではなく、その懐に入り込んで、活用してしまおうという作戦に出たのです。
だから、今やテレビ番組の放送もネットで宣伝する。
視聴率そのものは低くていいんです。
テレビ番組を情報のソースとして、それが魅力的な内容であれば、一気にネットで拡散されていくのですから。
ホリエモンが提唱していた『テレビとインターネットの融合』が、奇しくも10年くらいたって出来上がってしまったんですね。

だから、Twitterのトレンドにはテレビの話題が入る。
Yahooのトップニュースとかにもテレビの話題が入る。
意識しないうちに、私たちはテレビの情報を取り込むようになってしまったんです。

 

だから、その状態を考えると、テレビってまだまだ終わらないですし、何らかの形で生き残り続けるんだろうなあと思います。
少なくとも『幼少のころからテレビを見て育ってきた』自分なんかの世代が70歳くらいになるまでは、ある意味安泰ではないでしょうか。

ただ、『テレビってすごいよね』と言いたいわけじゃなくて。

だんだん、テレビに出ている芸能人が、YouTubeに流れてきています。
そして、そちらで生計を立てるようになってきて、『YouTubeのほうが収入が多い』状態にもなっているようです。
『テレビ芸能人のユーチューバー化』ですね。

そうなってきたとき、少しテレビの牙城は崩れ始めるのかな、と思います。

 

テレビって、作るのにめちゃくちゃお金がかかってますし、それだけ質は高いんですよ。
コメンテーターの発言がどうこうとか、番組の方向性が気に食わねえとか好き嫌いはあると思うのですが、総じて良くできてます。
だから、ある程度多くの一般の人に向けて、一斉に情報を届けるというプロモーションができるわけで。
『テレビ局が見せたいものを見せる』という点においては、とても優秀です。 

ただ、今や情報は『こちら側が選べる』時代。
そうなってくると、こちら側に選ぶ権利が与えられているインターネットが強いですよね。
ネットは一時期に企業が入ってきた、という話は書きましたが、テレビなどの既存メディアよりもハイクオリティなものを大資本を入れて作ろうという試みはあまりなかった。
ただ、最近はその流れがでてきている。
「今の時代に合っていない既存のものをぶっ壊すために、ネットでその上を行くものを作ってやろう」という動きが、今もあちこちで見られてきています。

 

その動きが本格化したとき、テレビはどう変わるのか。
個人的にはそこに、注目しています。