しっかり聞き終わったので、感想を書いてみます。
とてもいいカバーアルバムでした。
このカバーアルバムに先立って（その時はその存在は明かされていなかった）開催されたリサイタルでも、再三「私の歌を聞いて、元の曲を聞いてほしい」と言っていた天ちゃん。
まさにそのコンセプト通りに、原作にできるだけ忠実に歌唱したアルバムになっていました。
天ちゃんの特性は抑えられている代わりに、曲に真っすぐに向き合える、そんな歌唱になっていて。
それがゆえに、とても聞きやすいアルバムになっていました。
何度でも聞ける名盤。
カバーアルバムというと、”カバーした人の個性を出したアルバム”という印象があるかもしれません。
実際、ベテランの歌手がそういったカバーをしていたりもしますし、天ちゃんのリサイタルでもかなり天ちゃんらしく歌っていた。
そのことを踏まえると、今回のカバーに「天ちゃんらしさが薄い」という感想が出てくるのも、不思議ではありません。
ただ、天ちゃんらしい曲を求めている人って、何らかの形で天ちゃんの実際のライブに足を運んだり、ブルーレイを買ったりして聞いてくれる人だと思うんですよね。
それは確かに魅力的なのだけれど、何にも知らない人にその歌を出した時に、ひと目で、ひと聞きでその魅力が伝わるかというと、なかなか難しいかもしれない。
天ちゃんが「昭和歌謡が好きで」「パワフルな歌い方もできて」というところまで知っている私達だから、すっと入れるのだけれど。
もしかすると、天ちゃんを知らなかったり、そもそも声優さんが歌うことしか知らない一般の人は、それを理解するのにハードルがあるのかもしれません。
そういう意味で、このアルバムって、とてもいいアルバムだなと思いました。
「元の曲を知ってほしい」という天ちゃんの思いにきちんと答えられる内容になっていますし、ナチュラルに歌っているおかげで、天ちゃんを知らない人にも違和感なく聞いてもらえる。
これから、歌手・雨宮天という存在を、これまで天ちゃんを知らなかった人に知ってもらうのに、とても最適な一枚になるんです。
収録された楽曲は、本当に”往年の名曲”。
たぶん、この言葉だけでいいと思ってます。
「ぜひ一度聞いてほしい。名曲に酔いしれることができるから。」
とてもよいアルバムでした。
