Life goes onという英語の言い回しがあります。
直訳すると「人生は続いていく」となりますが、これ、実はニュアンスが独特で。
私がこの言葉に出会ったのは、橋本紡さんの小説、『半分の月がのぼる空』でした。
伊勢神宮がある以外はふつうの地方都市である三重県伊勢市に住む少年と、そこにある病院に入院してきた難病の少女との交流を描いた作品で、最初はライトノベルとして電撃文庫から出版され、後に一般文芸としても評価されました。
この作品は、先ほど書いたあらすじのように、少女の病気の進行とともに物語が進むのですが、各巻のサブタイトルが○○ half-moonと、"ハーフムーン"、つまり「半分の月」で締められているのが印象的でした。
- 1巻 looking up at the half-moon
- 2巻 waiting for the half-moon
- 3巻 wishing upon the half-moon
- 4巻 grabbing at the half-moon
- 5巻 long long walking under the half-moon
そして、本編が最後となる最終6巻。
「サブタイトルは何half-moonになるんだろう」
「もしかするとfull-moonになるのかな?」
と思っていた私が目にした副題がこれでした。
Life goes on
この時点ではこの慣用句の意味がわからなかった私も、鳥肌が立ちました。
命の大切さをテーマに書かれたこの作品。
調べた電子辞書には、その意味は、この一文のみで書かれていました。
「それでも生きなければ。」
”Life goes on”という言葉には、とても馴染みのある世代でした。
Dragon Ashのこのタイトルの曲が大ヒットしていたからです。
そのときは意味を知らず、「かっこいいけどラップだし正直怖い」と思っていたこの曲が、より好きになりました。
”生きなければ"だと若干強く感じるのもあってか、今では「それでも生きていこう」と訳すのがスタンダードみたいです。
なぜ「それでも」が最初にあるかというと。
この言い回しは、悲しいことがあったことが前提で使われるんですね。
辛いことがあったり、悲しいことがあったとき。
それでも。
人生はいいことばかりではありません。
それは自分もそうですし、周りの人もそうです。
最近、心を痛めた人も多いかと思いますが。
それでも生きていこう。
それでも生きていこう。