つるまうかく

群馬在住ヲタクのネット書斎

「推しは推せるときに推せ」の深淵で

あなたは今、「今、本当に推したい人」を推せていますか?

 

「推しは推せるときに推せ」

この強烈なパワーワードが知られるようになってから、だいぶ時間が経ちました。
主にアイドル業界を中心に使われていたある種の格言ですが、
『応援しようと思っていたのに、その人が卒業・引退してしまった』
という後悔などから生まれてきた言葉です。
人がどんどん入れ替わり、生き残るのも難しく、引退までの時間が短いアイドル業界だからこその言葉ではありますが。
それに限らず、様々な業界の様々な人のファンであれば、誰しもが関係する考え方でもあります。

 

先程はアイドル業界を例に挙げましたが、私が主にファンになっているのは、声優さんのいる業界です。
声優業界でも引退はあります。
私自身、好きだった声優さんが引退したこともあり、今でも後悔していることの一つだったりします。

引退は突然だったりするケースも多いです。
いつかお会いしたいなとか、少し気になっていたりだとか、そういった感情を持っていたとして。
「引退」の二文字が、その未来を全て閉ざしてしまう。
絶望でしかありません。

それでも、声優業界は他に比べて息の長い業界で、それこそ60歳や70歳の名優の方々がバリバリ活動していますから、引退されるケースはあまり多くありません。
仮に結婚しても後に現場復帰をしたりして、その意味では完全にいなくなってしまうわけではない。
そこは一つの救いなのかもしれません。
・・・引退という観点においては。

 

次にあるのが、「結婚」という壁です。
本当は取り上げたくないくらい重くて辛い壁になります。

「結婚するとファンが減る」みたいな話は、昔からまことしやかに囁かれていますね。
下衆い話かもしれません。
本来はおめでたいことですよ?
でもわかります。

私自身も、こちらも経験したことがあります。
結婚というのは、やっぱり大きな環境の変化なんですよね。
そうなってくると、お仕事をセーブされる場合もありますし、お子さんが生まれたらそれはもちろん子育てが第一になってきます。
そうなった場合、やっぱり今までのような形での活躍を期待できるかというと、難しかったりする。

また、今までは普通に投げられていた好意を、そのまま投げていいかがよくわからなくなってしまう。
配偶者の方がいらっしゃるようになりますからね。
そこはどうしても考えてしまうんです。

なので、少し話はそれますが
「ファンなら結婚を祝えよ!荒れるなよ!」
という言葉も投げかけられる”推しの結婚”に対する反応ですが、私は(もちろん限度はありますが)心中穏やかでなくなるのはごくごく普通のことだと思っています。

 

最後に書くのが、「環境やスタンスが変わってしまった」というものです。
これが一番、書きたかった部分かもしれない。

推しがいる人は、きっとなにか理由があってファンになったんだと思うんです。
よく、照れ隠しで「見た目から…」「顔面派」みたいなことを言う人もいますけど、それなら例えばモデルさんとか、究極に美を突き詰めている人のファンになるわけで。
きっとビジュアルだけではなく、性格や熱意、目的へのアプローチとか。
きっと何か精神的な部分も含めて、ファンになっているんだと思います。

たぶん、大事にしている要素があって。
それがある意味で裏切られてしまうような方向にスタンスが変わってしまったら、とても悩むと思うんですよ。
悩んで、「それも新たな魅力!」と納得できればファンでいることを継続したりすると思うのですが、それがもやもやになり続けて、結局はファンでいられなくなってしまう場合もあります。

また、例えばファンサービスがまめでファンとの距離の近さが一つの魅力だった人が、何か大きな作品でヒットしてお仕事がたくさん増えて、忙しくてファンサができなくなってしまったりすると、”変わってしまった”という印象につながるかもしれません。

また、ヒロイン風の演技が得意だった人が、少年ボイスの主人公をやって、それがものすごく人気が出て日本を代表するような作品になって、「少年声のスペシャリスト」として扱われてテレビに引っ張りだこになり、人気もお茶の間級になる、そして求められる演技も少年ばかりになる、となったとき、やっぱり同じ関係性ではいられないんだと思うんです。

 

私は以前、DD(誰でも大好き)というカテゴリで言われるのがあまりいい気がしないタイプの人でした。
なんだか真面目じゃないと言われているような気がして。
でも、今ではDDでいいとすら思っていて。

一人の人や、決まった人を未来永劫応援できたり、ファンでいられるならいいんですけど、やっぱりその時間って有限で。
ましてや、スタンスや環境が変わって、関係性も変わってきた場合でも、それを継続できるほど、私は強くないな、と思っているんですね。

そして、やっぱり今心で感じているものを素直に受け止めたいと思っているんです。
きらめきって、一瞬なんですよね。
放つ方も一瞬だし、受け取る方も一瞬。
だから、「いいな」と思った瞬間が、”そのとき”なんです。

 

不貞をはたらけ、と言っているわけではありませんが(笑)
ここでまた、最初の投げかけに戻ってみます。

あなたは今、「今、本当に推したい人」を推せていますか?

 

 

後悔のない推し事を。