つるまうかく

群馬在住ヲタクのネット書斎

ネット配信はリアルイベントの代わりになるか

イベントが開催されなくなって半年が過ぎました。
最近も、なんとかやります→中止します、の繰り返しで、なかなか厳しい状況だということが窺えます。

そんな中、確実に増えてきたのは”リモート化したイベント”。
ネットを活用したイベントや、コンテンツの配信などが矢継ぎ早に繰り出されるようになりました。

ただ、今回の記事のタイトルにあるような
「配信では実際のイベントの代わりにならないよねー」
ということも聞かれること多々。
そこで、このテーマについて、あくまでも個人的にですが考えてみました。

 

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リアルイベントとネット配信の違い

(1)実際に現地にいる臨場感が味わえない

これはもう、多くの皆さんが言っていることなので深くは書きません。
現地で聞く声、歌、演奏、目にする景色、パフォーマンス、空気の振動、そして行って帰ってくるまでの一連の行動・・・
これが得られないのは、間違いなく大きな損失です。

(2)イベンターノートに書けない

若干ふざけましたが、意外とこれが大きい。(イベノは例示です)

何かのライブに行っていたとき、私たちは
「誰誰のライブに行ってきたよー、よかったよー」
「誰誰の1stライブに行ったことがあってな・・・」
みたいな感じで、話題にすることがありますよね。
ただ、配信で
「誰誰のライブの配信を見たんだよー」
と言っても、
「それ、テレビで見るのとどう違うの?」
と言われてしまうと、その稀少さ説明することがなかなか難しいですよね。

私達は日頃から、”本物”に価値を求めます。
だから、ライブという特殊な場は、とても大きな”本物”の経験になるんです。
それが、画面越し、モニター越しになると、その稀少性が薄れたり、現実感が薄れたりして、どうしてもその価値が薄まってしまう。
例えるなら
複製のサインより、実際に書いてもらったこの世に一枚しかないサインのほうが、比べられないくらい価値が高い。

これがまさに、最近のコンテンツの主流だった
『何かを体験することに価値を感じる』
ということができない、ってことなんです。

(3)見る側の環境の問題

そして、あれこれ考えているうちに思い付いた課題がこれでした。

実際のイベントに行っているとき、私たちは基本的に他の要素には邪魔をされません。
「イベントに行く」という体を取っていることで、その他の要素が入らないように自然となっているんです。

ただ、配信イベントとなると、家族と一緒に住んでいる人はどうしても”フラグ”の可能性があります。(懐かしい単語だなあ・・・)
まあ、これは趣味の分野だけじゃなくて、リモートワークのときにも問題と言われたことではありますが。

東京とかに行っているわけではないので、仕事の緊急の呼び出しがあって対応しなきゃいけなくなったりもする。
そして、自由にトイレにも行けてしまうし、SNSもチェックできてしまうんです。
その配信の集中を削ぐような要素が、実際のイベントよりも、明らかに多い。

このあたりは、見る側の問題なので、幾分か改善できるとは思うのですが、多くの人が自宅から見ていることを考えると、やはり実際のイベントと同じとは言えないです。

 

こう書いてしまうと、もうネットに勝ち目がないので「はやくイベントができる世の中に・・・」と祈らずにはいられません。
ただ、その中でも少しは実際のイベントに近くなる要素だったり、それを緩和するような要素があったりしたので、次に書いてみます。

ネット配信でもリアルイベントに準じる満足感が得られる要素

(1)受け身で見るネットイベントと能動的に見るネットイベントの違い

配信というのはStream、「流れ」「流れてくるもの」という意味です。
なので、流れてくるものを私たちが受け身に見る、という感覚だと、やはりモチベーションは上がりません。

ただ、こちらが「ネットであってもどうしても見たい!」というイベントなら。
話は大きく変わってきます。
私自身も、実際に有料の配信番組を購入して見る、ということを何度かしていますが、それって、自分からどうしても見たい!と思って、いろいろ予定を調整して、よし見るぞとモニターの前で正座待機みたいな形で身構えて見た配信だったんですよね。

その内容が見たいものであったり、中身が充実していたりすると、イベントと同じとは決して言えないのだけれど、見てよかった、と思うことができました。
なので、ネットでの配信だったとしても、見る側の心持ちで、実際のイベントに近い楽しみ方ができるというのは、あると思います。

(2)大勢が一斉に見ることと、視聴者とキャストによる実況による一体感の醸成

イベントの価値は、「この瞬間以外では味わえない」特別な要素を付与することで更に高まります。
それが、その場の一体感であったり、そのイベントならではのスペシャルな要素だったり、シークレット情報だったり。

最近、ネット配信に多いのが、「配信に合わせて、キャストがTwitterなどで実況する」というもの。
例えば、ライブの円盤を個人がバラバラで買ってきて、それぞれ別々の時間で見るのであれば、それは個人的な楽しみの範疇です。
ただ、同じライブを見るのでも、大勢のファンで実況しながら、また実際にステージに上がっていたキャストさんがオーディオコメンタリーのような感じでSNSに貴重なあら話を挙げたりしてくれながら実況してくれたら…

それはそれで、一つの特別なイベントになるんですよね。

その他にも、リアルでイベントができないことを少しでも和らげられないかと、様々な形でそれを補うような工夫を、コンテンツは人知れずしています。
リアルイベントではできないことを逆手にとって付加価値を付けている所も出てきたので、この辺りは更に今後の工夫次第なんだと思います。

 

そして・・・

ネット配信でプラスになること

・新規ファンの取り込み

これ。
これ。
これは声を大にして言いたい。

ネットは、現実ではない分、こちらから情報にアクセスするのにもハードルが低いです。
さらに、過去のコンテンツを配信するなどして、それが無料だったりすると・・・

新規ファンを呼び込めます。

これにはマーケティング的な反証があるわけではありません。
ですが、実体験として、この半年の間にこういった配信で好きになったり、思い入れが増したコンテンツが、既にいくつかあります。

過去と比べてみても、この半年の趣味的な関心の変動って結構すごくて。
これは、様々なコンテンツが、このような時期だからということもあって、無料やそれに近い形で過去の成果を配信してくれたことが、大きく影響しているんだと思います。

逆に、この半年間にあんまり動きがなかったコンテンツは、関心が下がっていく傾向があります。
それはある種当たり前のことで、日頃関わることが少なければ、意識の『大事』と考える領域から、少しずつ抜け落ちていってしまうものです。
コンテンツって、「新たな話題を」「いかに長い期間提供し続けていけるか」というところが大きいので、勿論それぞれの置かれている体力面もあるとは思うのですが、それができているかいないかで、今後5年、10年後のコンテンツの人気に、大きく影響するんじゃないか、と思っています。

 

もちろん、リアルのイベントも、ネットイベントも、バリエーションは様々です。
ここで考えてきた範疇に入らないイベントも多数あると思いますが、全部が全部分析できないことはもうしょうがないです。
分析しきってしまったら面白くないかもしれないですね。


なので、私が考えた「ネット配信はリアルイベントの代わりになるか」ですが。

ネット配信はリアルイベントの丸ごとの代わりにはならないが、新規ファンを獲得する機会にはなる

ということを、結論として持ってきたいと思います。

 

 

コロナが収束し、前のような世界が戻ってきたとき。
私たちは、どんな”現場”にいるでしょうか。
それは、コロナ前と同じでしょうか。
あるいは・・・