つるまうかく

群馬在住ヲタクのネット書斎

恩は受けた人には返せない

社会人一年生だったときのこと。
私は、自分がやっていることが正しいと疑わず、周りの意見をあまり聞かず、しかし押しが弱くなよなよとしていて、図星を注意されるとすねて逃げてしまうという、非常に扱いづらい、一言で言えば『仕事ができない』新人でした。

本人は真面目にやっているつもりで、何とかしようとしていたのですが、それが空回りに空回りを重ねて、悪いスパイラルに陥っていました。
そのくせ、自分がこの道で成し遂げるんだという大言壮語を吐いているという、最悪の状態でした。

そんな状態だった私ですが、時になだめすかし、時には厳しいことを言ってくれて、常に私の世話をしてくれる先輩がいました。
心が折れかけて、一年でドロップアウトをしようとしていた私をつなぎ止めてくれたのは、この人のおかげで。
詳しくは分かりませんが、私の指導に相当な時間を使ってくれたようです。

結果、あんまり自分で言うことじゃないですけど、私は最低限の仕事はでき、強いところならそこそこ武器に世を渡っていけるような人材になることができました。
何人かの人に尋常じゃない負担をかけながらここまで生きてきたのが私なのですが、社会に出て一番お世話になったのは、間違いなくこの先輩でした。

当時も、ありがたさや後ろめたさは感じていたので、その人に恩を返そうと思ったことが何度もあります。
ただ、その度に言われたことに
『それは後輩に返してあげな』
というのがありました。

これは本当に残念で悔しいんですけど、恩をくれる人に何かを返せることって、滅多にないんです。
表面的にはあるのかもしれないけど、なかなかない。
だから、
「恩を受けたと思ったら、それは新しく入ってくる人に親切にするとか、自分が何かできるときに奉仕の心を持って取り組むとか、そういったことに生かした方がいいよ」と。
そういうメッセージをもらいました。

 

今、私自身がそれをできているかは、他の人の目から見てもらわなければ分かりません。
お世辞かもしれませんが、たまに「面倒見がいい」と言われたりとか、新人で入ってきたときに一緒に働いた子に感謝されていたりと、ありがたいことにそういった言葉を戴くこともあるので、少しはその精神を受け継ぐことができているのかな、それなら嬉しいな、と思います。

 

タイトルに書いたこの言葉は、色々な言い方があると思います。
たとえば、リトルバスターズ!の『幸せスパイラル』理論なんかもこれに近いかも。
ことわざだと『情けは人のためならず』もありますね。

聖人君子たれとは言いませんし、私も泥にはまみれている人間なので、綺麗事ばかり言うつもりもないのですが。
プラスのことをプラスのまま、いい流れを作っていくことは大事だなと思いますし、自分がその流れの中に入れるのであればうれしいな、と思っています。