つるまうかく

群馬在住ヲタクのネット書斎

記憶に刻まれた「群馬の同人誌」と、『愛』とは何かと、私と群馬と。

数年前に、群馬をテーマにした同人誌を読みました。

群馬にまつわるエピソードが、作者のモノローグを織り交ぜて、可愛らしい女の子のイラストや簡単なマンガを通して淡く描かれている、ストーリーものというよりはエッセイに近い同人誌でした。

作者の方は、群馬県に生まれたか、または育ったと思われる方で、群馬に住んでいる人なら「あるある!」と思えるような”ぐんまネタ”が、ふんだんに盛り込まれていて。
例えるなら、”全く毒のない『お前はまだグンマを知らない』”のような感じでした。

その同人誌の終盤に、こんな言葉が書かれていました。

 

 

 

俺は

群馬が

大嫌いだ。

 

 

心が雷に穿たれました。

この同人誌は、決して薄い同人誌ではありません。
表紙もカラーですし、ちゃんとしっかりした装丁です。
書かれている文字は、おそらく大半が、手書き。
イラストも味がある感じで、間違いなくうまい。
そこに、手抜きなどは一切感じられませんでした。

本当に嫌いなら、こんなに労力を割くはずがない。

この作者さんは、群馬に愛があるんだな、と思いました。
本人は否定されるかもしれないですけど、これはきっと、愛だ。

 

私もよく『群馬愛がある』と言われたりします。
実際、そういう思いを持っていることは間違いなくて、少しでも群馬に興味を持ったり、好きになってくれる人がいいなと思っています。

ただ、群馬にいい思い出ばかりがあるかというと、とんでもない。
嫌なことのほうが多いどころか、嫌なことだらけでした。
一部の仲間をのぞけば、思い出したくもない縁ばかり。
そこで何とか生きようとして、尖って、ひねくれて、意地を張り続けた。
今周囲にいてくれる人は、そんな面倒くさいのに呆れながらも許容してくれた人ばかりで、本当に感謝しています。

群馬という地を前向きに捉えられるようになったのは、たぶん働き始めてからのこと。

学生時代に旅に出るようになったのも、当時はきっと、群馬からの解放だった。
旅を繰り返して、移り住みたいなと思う場所もいくつかあった。
ここ数年は”週末都民”みたいな感じになって、東京でも住んでいけそうだなとも思った。

でも今は、やっぱり私はこの地に、群馬に根を張りたいなと思っている。
そこには、好きだという思いだけがあるわけでは、正直ない。
憎しみめいた思いも、反骨心みたいなものも、そこにはあって。
でも、ここまで私を育ててくれた地は、ここなんですよね。
諸々ひっくるめて、私は群馬という土地が、”好き”なんだと思います。

好きって、そういうもんじゃないかなと。
全部が好きでは、きっと片付けられない。
もしそうなら、好きになる側も、なられる対象も、両方ともきっと完璧超人なんだと思う。
でも、そんなパッカリと割り切れるものではない。

好きの反対は、嫌いなのか。
多分そうではなくて、好きの反対は、”無関心”なんですよね。
好きと嫌いは、きっと”背中合わせのツンデレ”なんです。

 

好きの中には憎しみもある。
憎しみの中には愛着もある。
愛憎渦巻く世界で、一言では説明できないような、とにかくキメラみたいに複雑に絡み合った、それが、『愛』なんだと思うのです。

 

きっと私は、群馬が大嫌いで大好きなのでしょう。