つるまうかく

群馬在住ヲタクのネット書斎

かのかり3期がおもしろい理由

「彼女、お借りします」、通称:かのかり。

数多く存在する『大学ラブコメ』の中でも、”役者志望の美人なレンタル彼女”と”ヘタレ熱血なふつうの大学生”という、ある種交わることがなかったはずの二人が関わっていく過程を描いた点がとても巧みで面白く、各期の終盤などでは心に響いてホロッとさせる場面も用意されているなど、人間模様を描いた(疑似)恋愛作品としても優れており、その時点で大好きな作品でした。


一方で、事前の情報で『3期では彼女(千鶴)の映画を撮影するという流れになる(クラファン編)』という話を聞き、ここまでの流れがとても良かっただけに
「物語の雰囲気が変わってしまわないか」
「好きだった『かのかり』が変質しないか」
と心配していました。


結論から言うと、かのかりは1~2期と3期でやはりテイストが変わりました。
主人公の芯が強くなって顔つきも変わり、おバカ要素や恋愛模様などの醍醐味は少し抑えられ(「クセが弱くなった」という言い方が適切かもしれません)、本格的に「クラファンで自主制作の映画を撮影する」という色が強くなったのですが。


これがとても面白くて、すごく共感できるんです。


『若者が集まって作品を作り上げる、そこに恋愛模様が織り込まれている』という作品も、これまでにたくさんありました。
『その作品を作るのも誰かのため』というのもある種王道なんですが。

かのかりのこの図式って、
「役者への階段を上がり続けている人をさらにひと押しするために、いちファンが行動を起こす」って構造になっているんです。
私ははそれを見て
これってフラスタ企画と同じだ
と思いました。

なんというか、ファン企画って、こうなんですよ。


厳密には同じではない。
けれども、とても近い。

物語としてみると実際には違うんですけど、主人公の和也は、クラファン企画を進行している間は、自分を下に位置づけています。
役者である一ノ瀬ちづるとは棲む世界が違う、関わることすらおこがましいくらいの位置に自分を定義して、企画を進めていきます。
関係性に翻弄されながらも、企画を成功させようと全力で突き進む。
色恋沙汰や好感度ではなく、「それを成し得て何を得られるか」を大事にする。 
これは、ファン活動の局地なんです。

 

このあたりが、従来の作品と差別化がされているところで、かのかりの感想の中でも
「クラファン編は面白い」
という評判に繋がっている由縁なんだと思います。

 

まさか、かのかりでこんな共感を得ることになるとは思いませんでした。
クラファン編の結末を楽しみにしながら、引き続き見ていきたいと思います。